相槌 『ーを打つ』人の話を聞きながら、同意・同感のしるしにうなずく。人の話に調子を合わせる。
槌を打つタイミング、ドキドキ、ズキズキ、いや、聞いてますよ、ほんま、せやけどですね、いつ打てばよいのか悩むのです。ほんま。さらにさらに口から飛び出す感嘆詞が一本調子だったら、この人は自分の話をちゃんと聞いているのだろうか、なんて訝られやしないかと尻がムズムズ。実は語彙が貧しいだけなのです我。かといって、あらんかぎり、ほー、へー、ああ、なるほど、ほいでほいで、そうでっか、あー、って相槌を打ちまくると、この人は調子のよい人(=いい加減な人)と怪しまれないかと足の裏がムズムズ。
ある会場の壇上で誰かがしゃべっている。前の人、右横の人、左横の人、後ろの人、みんな相槌を打っている。みんなしっかりと聞いてるやんってビックリして、自分もウンウンって赤べこやりますと、あらら、変なところで頷いてしもうた。おや、壇上の人が沈黙してはるのに、前の人、右横の人、左横の人、後ろの人が相槌を打っている。そうか、読心術か。すごいわ。読心術を身につけた人の共通点は躰がやや沈み加減で、右か左へわずかに偏りま。
それを故人曰く、船を漕ぐというそうで。なるほど。絶妙な相槌は天賦の聞き上手なり。