隣の芋は青い?

近江舞子駅

今年も近江舞子いちご園へ行ってきた。晴天、半袖では少し寒いくらいだった。毎年、良い天気でめぐまれている(雨の日に行く人はいない)。近江舞子駅から見える景色が好きだ。小野駅を過ぎたころ、読書をやめて景色を眺めていた。和邇から近江舞子までの間、鎌倉に住まないならこのあたりに住むなと思った。「朝、目が覚めて窓を開けると、目の前に琵琶湖があったら、それだけで幸せやな」といつも感じる。鎌倉でも同じ気持ちだった。

近江舞子いちご園は、近江舞子駅から歩いて7,8分ほど。周りの景色を眺めてゆっくりと歩いた。

近江舞子いちご園の周辺

12時すぎに到着。芋掘りの場所を案内してもらった。毎年、掘る場所は違う。案内された株のすぐ隣では、4人家族が掘っていた。小学生の低学年と幼稚園ぐらいの姉妹が、すごく楽しそう。さっそく、袋から軍手とスコップを取り出した。ところが、掘り始めて妙な感じがした。なんとなく視線を感じる。(後で聞いたところでは)お隣のご両親が、こちらの芋掘りの様子を窺っていた。

隣のお父さんは大変そうだった。ハンディカムで撮影しながら芋掘り。姉妹たちが、芋の周りの土を丁寧に掘り、いざ、引き抜こうとしたとき、「まだ、あかん。電源が入ってない」とか、「引っこ抜くとき、声をかけてな」とか、「●●ちゃん、もっと土をかき出さなあかん」とか。その必死さに感銘を受けたのか、お母さんも、同じく、「●●ちゃん、芋がもっと見えるように掘らな、カメラで撮られへんから」とか、「お父さん、もう引っこ抜くよ、大丈夫?」とか。

そうやって娘たちを鼓舞しながら、ご両親は、こちらの芋掘りの様子を窺っていた(らしい)。大変だな。

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今年は、ものすごく大きな芋が3,4つ収穫できた。かと思えば、小ぶりもあった。全体として例年より大きめ。芋の大きさが毎年違うので楽しい(あたりまえか)。収穫した芋を持ち帰ってすぐにでも食べたい。それをぐっと我慢して、2,3週間から1ヶ月程度待つ。すると、ものすごく甘くなっていて、とてもおいしい。

近江舞子いちご園

収穫を終えて、小屋に戻ると、さっきの4人家族は、もういなかった。ベンチに座っておにぎりをほおばる。おいしかった。琵琶湖側から山側へ風が流れる。心地よい。ときおり風向きが変わると、肥料のにおいが鼻にやってくる。ベンチの前では、別の4人家族(こちらは兄弟)が、昼御飯を食べていた。食べ終えた頃、4人が一斉に席を外したので、何事かと走っていった方へ目をやったら、収穫したばかりの芋を焼いていた。それを、いちご園の人たちにもおすそ分けしていた。熱熱の焼き芋をほおばる兄弟。

近江舞子いえいご園

帰りの電車まで30分ほど時間があったので、畑を探索。すると、焼き芋の兄弟が、僕が持っていた南瓜風の物体に興味を示し、「それは何ですか?」と訊いてきた。「そこで拾ったけど、僕もわかりません」と答えた。子供たちが敬語で話しかけてくれたので、僕も敬語で答えた。やっぱり敬語っていいなと改めて感じた。距離を感じさせない敬語に堪能な人になりたいと思った。

毎年、近江舞子いちご園へやってくると、気づきがたくさんある。気づきがなくなったら、違うか、気づけなくなったら、足を運ばなくなるのだろう。そのときの自分は、自然と人工を峻別しているだろうし、そうなりたくないと願う。

焼き芋の子供たち