[Review]: ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)

ようやく、『ドグラ・マグラ (上)』『ドグラ・マグラ (下)』を読了したよぉ。疲れたぁ。あぁ、低能にはさっぱりワカランかった。撃沈されました。日本三大奇書のひとつ(参照: ドグラ・マグラ)。本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす、との宣伝文句。毀誉褒貶のはげしい小説です。

<これを書くために生きてきた>と著者みずから語り、十余年の歳月をかけた推敲によって完成された内容は、狂人の書いた推理小説という、異常な状況設定の中に、著者の思想、知識を集大成する。これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書。

とにかく設定と内容を読解する力が皆無だったのでGoogle先生に何度も問い合わせてみたけどさっぱり。壮大のなかに仕掛けられた緻密というか、プロットが幾十にも構造化されているようでまったく紐解けなかった。で、おしまい。再読決定です。

ただ、とにかく圧巻だったのは、昭和10年に執筆された精神病に対する見解。当時の時代背景を知る人ならびっくりだと思う。現在の知識で読んではいけない。いったん、「」に括る必要がある。「」に括れば、「解放治療」なんて概念がなかった時代。先見性という言葉が安っぽく聞こえるような著者の狂人に対する執着。

「心はどこにあるのか?」という問い、「人はどこから到来しどこへ逝くのか?」という無常、脳髄が映る世界はいったい何なのかがずっと脳裏にこびりついていた。

「脳髄は物を考えるところに非ず」