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構造計算書偽造問題:情報の非対称性を補完する機能

nikkeibp: 「姉歯事件は氷山の一角か」、吉岡和弘弁護士

今回の構造計算書偽造事件は、当事者を混乱に陥れただけでなく、消費者の専門家に対する信頼を破壊した。これは例外的事例であると言いたいところだが、欠陥住宅の問題に長年取り組んできた筆者にとっては、「またか!」の感を禁じ得ない。

この記事に対して愚案をアウトプットしておきます。まず「構造計算書偽造」と「欠陥住宅」の違いを提示せずに「設計」と「施工」を一括して述べられていますので、それにならって「建築」という視点からとらえてみます。

今回のように

となる業界には、情報の非対称性が色濃くあります。何をもって「情報の格差」と定義するのは難しいですが、このエントリーでは、消費や役務の提供に限定した日常品や嗜好品を買うのと比較したときの「格差」である、と仮定します。

そして、ひとたび業界vs消費者の構図の事件がおこると、甲論乙駁のなかで「消費者も自己防衛しないと」的見解が述べられているのをしばし見受けます。

自己防衛論にはロジカルな見識があり、時に納得したり、賛同します。ただし今回の一件については、「自己防衛」の結論へ導く前に、ひとつ緩衝材をいれてみてはどうかと一考してみました。

それが冒頭に述べたように、「情報の非対称性を、可能なかぎり対称へ補完する機能を果たす」第三者機関あるいは事業サービスをどう機能させるか、という愚案です。

以前、R30さんが「ファイナンスした人が責任取れば?」という斬新な提言をされていて、一読して「なるほどなぁ」と得心しました。

gskay氏が書いているように、問題の本質は「違法な建築のはずの建物が、基準に合致していると判を押され、それを正しいと思って金融機関が購入者たる住民に住宅ローンを融資、つまり信用を供与した」ことなのである。ここでもし違法な建築であるということが分かっていれば、カネのやり取りはヒューザーと建設会社や設計士の間、つまり業者同士だけで終わっていたはずなのだ。建築確認が通ったということが、金融機関にファイナンスを可能にさせ、住民がそれを買うことを可能にした。つまり被害を一般人にまで広げた。 であれば、まず国交省と金融庁は「債務者が預かり知らないところで作られた違法建築に対して供与された住宅ローンは、本来債務者に返済義務はない」として、金融機関にまず責めを負わせればいいと思う。銀行と住宅公庫は、もちろんそれでは収まらないだろう。違法建築を建てた責任は誰かということを、銀行と住宅公庫が売り主、設計事務所、建築確認した会社を相手取った裁判で争って明らかにすればいい。

その後各方面にググッてみると、法学的に難しい要素を含んでいるらしいとまで理解しました。仮に法学的問題を右へ置くとすると、R30さんの提言は、今後の「住宅問題」に対して新たな枠組みを投げかけられたのではないかと思います。

米国では損害保険会社が住宅購入者と契約する際、担保物件を独自調査(設計図や構造について)すると何かで読みました。日本でも同様のサービスを提供している住宅コンサルティング会社があると聞いています。

情報の非対称性を縮小させるのは、アイデアリズムで現実的でないとは理解できるのですが、個々のリテラシーを問う前にシステムを整備できる余地は残っていないかという疑問からポストしてみました。

P.S.

穿った見方をしますと、米国が『年次改革要望書』のなかで「建築」「医療」「会計」の改革を迫っているのは、いずれも「チェック機能をはたす周辺サービスを創出できる」という“ビジネスの旨味”を経験上知っているからなのかとあらぬ想像をしてしまいますが…..。