「今度さ、そっちへ行くんだけど、会えないかな? 会ってみて百年の恋も覚めるってのも手かもよ」
「そうやな。百年の恋も覚めるっつうのも手やな。でもやっぱりやめとくわ。」
メールに刻まれる文字を見ながら、「情けないわ」ってひとりごちやね。
自分に素直になれず意固地な返事をしてしまったことよりも、あなたがどんな気持ちでメールを書いたのかくみ取ろうとしなかった自分が恥ずかしかったわ。
「これだけ距離があるうえに、お互いあまり連絡しないけど不思議だね。遠い気がしないし、気持ちが離れている気がしない。」
いつも思慮深くて、臆病すぎるぐらい距離をもち、それでいて時に自虐的とも思える振る舞いをするあなたが、自分に投げかけた言葉。
それに自分はこう返したやんか。
「オレはエエ人やないよ。あるコトに対して自分がうごくとき、それでナニかが生まれたりせんかったら、まったく興味がないで。」って。
なのにあなたは物怖じせんと、サラッと言ってのけた。
「わかってるよ。でもそれは仕事と遊びにでしょ。私には違うんじゃない?見返りを求めていないと思ったから、距離を縮めたんだよ。」
そのたびに思い出す言葉があるんや。
「見返りを求めたら大事なコトは手に入らない。見返りを求めたとたん、むこうに対する自分の何かが少しかわる。その少しが大きく何かをかえていく。」
仕事や恋愛ではありえんことかもしれんけどな。でも、お互い自分自身に強烈なコンプレックスをもっているからこの言葉を肌で感じて共有できたんかな。
でもなぁ、今回は違ったな。何か求めたやんやろうな。それを認めたくなくて、文字の向こう側にある気持ちを踏みにじってしまったんやな。
「会いたいなら、会えばよくな〜い!?」
あなたの一言が、空しくこだまする。