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トム・ピーターズのマニフェスト1 デザイン魂

トム・ピーターズのマニフェスト4部作の第1弾("トム・ピーターズのマニフェスト(1) デザイン魂 (トム・ピーターズのマニフェスト 1)" トム・ピーターズ)。あいかわらずのトム説法に圧倒された。ただ文章が逐語訳気味。一語一語カチッと読もうとすると疲れるかもしれない。そういうわけで、トム・ピーターズが訴えたいことを嗅ぎとるほうにリソースをふりわけた。邪推すると、原文のリズムを再現しようとしたのか。おそらくエキセントリックなんだろうなぁと、ちょっと原文を読みたくなった。Design=soulの真髄ここにあり。

「私は、デザインおたくです。"審美眼"は持ち合わせていなくても、クールなものが大好きです。しかし、デザインは個人的な好みでは終わりません。それ以上にビジネスを左右するものです。『デザイン』は、プロのこだわりになってきました。デザインはそれ自体が製品やサービスあるいは経験に対する情緒的な愛着(あるいは無関心)を抱く根源的な動機だと信じています。デザインは、私の解釈では、傑出した製品・サービス・経験を生み出せるかどうかを左右する、一番の決定要因です。さらに言えば、デザインはどんなときにも最優先だと考えている企業があきれるほど少ない"重要なテーマのひとつ"なのです」『トム・ピーターズのマニフェスト(1) デザイン魂』 P.20

アメリカでも、「デザインはどんなときにも最優先だと考えている企業があきれるほど少ない」と指摘される。日本はどうだろうか。例えば携帯電話、数年前auはデザインコンセプト型端末を発売した。当時は物珍しさも手伝って売れたが、今ではデザインが重要な評価項目になってきた。

デザインは製品だけの専売特許ではない。翻訳すると「設計」という意味になるし、機能美といった要素も含んでいる。とすると、「システム全体」が「デザイン」されていてもおかしくない。FedEx Corporationのハブ&スポーク・システムが適例だ。滋賀県大津市から滋賀県草津市へ急ぎで荷物へ送りたいとする。それをなんと一旦大阪を経由して送ろうと考えたのが、創始者フレデリック・W・スミス (Frederick W. Smith) 氏である。創業時27歳。氏は自分が構想したハブ&スポーク・システムの原型を、エール大学在学中に卒業論文にまとめた。採点の結果はC。かろうじて及第点。にもかかわらず、「国際航空貨物輸送には、ドアツードアのニーズがあるのではないか」と信じ創業した。その会社がいまや私たちの生活を一変させた。

昨年、私がお世話になったヴィラブリゾートも同じだ(参照1, 2)。宿泊施設を売っているわけじゃない。美しい宿泊施設が宿泊客を魅了するのではなく、「デザイン」されたシステムが身体に浸透してくる。周りの時間とは違う「異時間」を経験させてくれることに感動する。自宅に帰ったあとに「経験」が蘇ってきてすぐにでもまた行きたくなる。そんな時間と空間があった。最近、宮古島にはヴィラブリゾートと同じようなタイプのホテルが登場した。宿泊施設はコピーできても、Design=Soulまで再現できるのだろうか、楽しみ。

デザインと密接な関係にあるのが「ブランディング」。トム・ピーターズはブランディングの信者だ。そして、氏に言わせると、

となる。そして、

と主張する。愚生は、ブランディングという言葉を考えるとき、カタカナやタームとしてとらえたくない。たとえば、ブランディングを「存在意義」なんて超訳したらどうだろう。重々しいかもしれないけれど、何か「突き刺さってくる」ような問いかけとして私の目には映る。

なぜ、氏は「簡単で難しいもの」と言うのか?それは、ブランディングは次の簡単な(とはいえ難しい)質問を答えることから始まるからだ。

そして、最後の質問は最も重要なこと、それが

「アップルは反抗し、IBMは答えを出し、ナイキは熱く語り、ヴァージンは啓発し、ソニーは夢を見て、ベネトンは抵抗する。つまり、ブランドとは名詞ではなく、動詞だ」同 P.140

このテキストに触れれば、「○○で一番大きい」というキャッチーな"ブランド"が色褪せてきたように思えるのは錯覚か。また、規模の大小に関係なく、私のような個人事業主にも問われている質問なのだと自覚した途端、恐怖した。

「ナイキは、ナイキの製品を使うという経験を売っている」

トム・ピーターズの変わらぬクールでエキセントリックな言動に感謝。