//に費やした時間とE-mailの終焉

WWW(=World Wide Web)を発明した Tim Berners-Lee 氏へのインタビュー記事。「インターネットを発明したころに戻れるとしたら、何を変えたいか」という質問に対して、同氏は、 “http://” の “//” を必要なかったとの回答。WWWを発明した時、いいアイデアに思えたが現在から振り返ると”//”なしで設計できたはず。”//” をタイプするために一体どれだけの時間を費やし、印刷のためにどれほどの木を伐採したのかと語っています。

The double slash, though a programming convention at the time, turned out to not be really necessary, Mr. Berners-Lee explained. Look at all the paper and trees, he said, that could have been saved if people had not had to write or type out those slashes on paper over the years — not to mention the human labor and time spent typing those two keystrokes countless millions of times in browser address boxes. (Today’s browsers, of course, automatically fill in the “http://” preamble when a user types a Web address.)

via: The Web’s Inventor Regrets One Small Thing – Bits Blog – NYTimes.com

“//”の意味を調べず、それがあることをあたりまえだと入力していましたし、今のネットが消費するエネルギーを計算すれば、微小な要素じゃないかなぁと感じました。それよりも発明への感謝が大。ただ、発明者の着眼と発想は全く異なるんですね。質問もクール。

But, according to the world wide web’s inventor, Sir Tim Berners-Lee, the two forward slashes that form part of every web address are entirely useless.

via: Sir Tim Berners Lee admits the forward slashes in every web address ‘were a mistake’ | Mail Online

“//” の入力に費やした時間に比べたら、電子メールに費やす時間のほうが気になります。というのも、電子メールって読まないのに着信してくるメールが多くありませんか?

  • ユーザ登録で着信希望してしまったDM
  • メールマガジン
  • メーリングリスト

1994年ごろからインターネットを使い始めて、数年後にはNifty(TTY)やメールが情報収集の手段でした。その当時、幅広い分野の情報量を読まなければって焦燥感があったので、関心の度数が低くても思わず「受信する」をクリック。Nifty(TTY)もPC系とビジネス系フォーラムを中心に自動巡回していました。

数をこなせば読み方が鍛えられ、見分ける力が養われ、結果、理解に必要なフレームが増えるから意見のバリエーションが増え、あたかも自分が賢くなった錯覚に self‐satisfaction していました。

ただし、数をこなすといっても、その数は少なかったはず。たとえば、5,000/日のメールを受信する人の話を何かで読みました。

ところが2004年頃からRSSに移行して、メールの活用は逓減していくけれど、受信量は変わらずの環境に疑問が。

メールをクリックしたり削除したりする時間とコスト

私のメール運用は単純です。

  1. 自宅サーバの迷惑メールはサーバで削除
  2. Google AppsのGmailの迷惑メールはGmailに依存
  3. 1.2とも迷惑メール以外のメールは自動振り分け

読まないメールはフォルダに蓄積されて二度とお目にかからない。未読数を気にしなくてよければ、この運用のままでOKでした。

でも、やっぱりだめ。気になります。メールの着信そのものが鬱陶しくなってきた。というのも、馬齢を重ねるごとにチャレンジしたい項目が増え、そうすると時間が最も貴重な要素になります。時間をつくるために身の回りの設計を見直し始めました。そこで真っ先にリストアップされたのが電子メール。で、以前からやらねばと思いつつ腰が重かった「メール着信の数を減らす」計画を年初からようやくスタートしました。そして、ほぼ終了。

メール環境の再構築

  1. ISPのメールを破棄
  2. メールアドレスを集約
  3. DMはすべて受信しない
  4. メーリングリストを退会
  5. メールマガジンを退会
  6. 1.-5.を実行した結果、着信メールは迷惑メール(といっても削除)とビジネスだけ

目的は、「メーラを起動する時間を極力なくす」です。SkypeやTwitter, blog を使えますから連絡手段はメールだけではありません。ただし、SkypeやTwitterも時間を必要以上に消費しかねないから、その点を注意しています。

流れてくる情報の質量を能動的にフィルタリングするより、一度、すべてを否定して、必要な情報だけ流れてくるように開放する。自分のライフスタイルを観察してきた結果、「流れてくる情報より、自分から調べた情報が知識へ変換しやすいので変換効率が高い」と判断できた。よって、Deny from All, Allow from xxx が自分の性質と合致しているようです。

電子メールといえば、「電子メール時代の終焉」は来るか:「メールを使わない人」が増加 していると指摘する記事が数年前から報じられています。傾向が事実かどうかに関心を持っていませんが、自分の行動から類推すれば、「メールを使わない人」の増加に得心がいきます。帰納は危険だけど。

iPhoneがライフスタイルを変えた

それでは、電子メールは「いつ」「どの程度」縮小していくのだろうか? これについては企業での利用が関係してくる。企業の電子メール依存はとうぶん続くだろう。企業とはそういうものだ。インスタント・メッセージ(IM)さえ採用していない現場がまだたくさんある。

また、『iPhone』のようなモバイル機器では、電子メールを使う手間が軽減され、SMSやMMSやTwitterといわば同列になる。こういった最新モバイル機器によって、電子メールの寿命は伸びるかも知れない。

via: 「電子メール時代の終焉」は来るか:「メールを使わない人」が増加 | WIRED VISION

この記事とは裏腹に、僕は iPhone を手に入れてからライフスタイルが変わりました。あっ、iPhone じゃなくてもよいです :-X

なるほど、電子メールの寿命は伸びたけど、常時起動のアプリじゃなくバックアップへ降格したので、活用時間は最小単位へ押し込めました。

iPhone で自分からコミュニケーションツールへアクセする。誰かの言動はネットへ置いてあります。リアルの言動とネットの言動は時間のずれを持っているけれど、自分から必要に応じて誰かの言動へアクセスできる。

そんな生活のリズムが安定すると、電話やメールが失礼(って表現は適切じゃないかな)って感じてきて気が引けてくる。でも、ひとつわかったこと。”会う”を吟味できるようになった。”会う”がとても大切になりました。会わない機会が増えたから、流れてくる情報を遮断したから、自分から能動的に関与する要素を削減したから、”対話”の醍醐味を味わいたい欲望を常時保存できるようなってきた。対話への欲望はバックアップツールできませんから 😉