投げつける

蓮

考えるものは、そういった類のものであって、言葉ではもちろん、絵でも表現が難しい。模型を作ることもできないだろう。だからこそ、頭の中で取り扱われるのだ。それでも、いずれは頭の外に出さなくてはならない。そのときには、やむをえず次元を下げ、ほんの一部分が投影されることになる。そして、適当な近い意味を現有の言葉の中から見つけて、受け手の想像力に期待しつつ、投げつけるしかない。受け取れる者は限られている。世界に何人いるだろう。

『ηなのに夢のよう』 P.13