混乱状態

琵琶湖

<<得意>> 人が自分の力と能力について造影することから生じるたのしみは、得意 GROLYINGとよばれる精神の高揚である。それは、もしかれ自身の以前の諸行為についての経験にもとづいているならば、自信 Confidenceとおなじであるが、<<うぬぼれ>> もしそれが、他の人びとの追従にもとづいたり、あるいは、それの諸帰結のよろこびのために、かれ自身によって想定されたにすぎなかったりすれば、うぬぼれ VAINE-GLORY[むなしい得意]とよばれる。その名辞は、適切に与えられている。なぜならば、十分な根拠をもつ自信は、くわだてを生みだすのに対して、力があるという想定はそうではなく、したがって、正当にむなしいとよばれるのだからである。

『リヴァイアサン (1)』 T. ホッブズ P.107