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iPhone

このブログを開いた理由の1つが、iPhone向けサイトの構築。WordPressというPHPベースのブログソフトはご存知のことと思うが、そのプラグインに「WPTouch」というものがあり、ただ所定のディレクトリにアップロードすれば既存のWordPressサイトをiPhone対応にできてしまう、という安直さに強い興味を持ったからだ。さらにiPhone用WordPressクライアントを利用すれば、iPhoneのiPhoneによるiPhoneのためのブログが(あっという間に)できるのではないか、と。

via: 安直にiPhone向けサイトを構築する – builder by ZDNet Japan

Windows98にInternet Explorer 4.0がに搭載されてWWWの世界は一般人へ扉を開いた。10年間、ブラウザを搭載したPCはWWWに君臨した。その間の変化と、ここ1,2年の変化を比較すると、僕は後者に軍配をあげたい。10年間が普通列車なら今は新幹線のスピードで変化している。今後の10年はリニアの速度へシフトチェンジする、と思う。PCの地位は低下した。

iPhoneを購入して電源を入れるやいなや、僕は自分のブログへアクセスした。DSやWiiからはアクセスしていた。DSでは読めないな、Wiiなら何とか読めるな、と認識していた。携帯電話はKtai Styleにお世話になっている。残りのデバイス(PS3やPSPなど)を持っていないからどんな風に表示されるか知らない。

僕のブログは

  • DS – 表示できるけど読みづらい(読めない)
  • Wii – 表示できるし読める(操作に難あり)
  • 携帯電話 – 表示できるし読める(写真は任意で表示)

だった。

iPhoneでアクセスして、自分のブログがPCと同じように表示されているのを見て、頭でわかっていたにもかかわらず感慨深かった。一方、可読性は低下する。さっそく WPTouchをインストールした。再度、アクセス。驚愕と危機感が同時に訪れた。危機感を「危機感」と書けばチープだな。焦りやキャッチアップできない苛立ち、何かできそうなのにアイデアが浮かばない怒りとか、それらが入り交じった深刻な感覚だった。

「iPhoneやiPod touchのユーザーはこのブログへPCからアクセスしないかもしれない」と頭によぎる。

WPTouchは素晴らしい。これで当面は充分だ。iPhoneは僕のネットライフへ革命をもたらした。仕事以外でMacからウェブサイトへアクセスする機会が激減した。天気予報や地図とかちょっとした情報を調べたいならiPhone。RSSもiPhone。WikipediaもiPhone。AmazonもiPhone。iPhoneで読みにくく、かつ読んでいなかったフィードを削除している。

ということは、僕のブログもRSSから削除されるな、と感じた。

大規模なWebサービスを提供したいならデバイスごとにサイトを構築しなければならない。SNSがPCとモバイルを峻別するように。だけど、そうでない場合、例えば、中小零細企業や個人事業主のサイトなどは、”CMS+プラグイン”で目的の9割を達成できる。

むしろ、以下の5点に注力する時間と質を確保しなければならない。

  1. 情報を削る
  2. 写真や図とテキストを明確に分離する
  3. 可読性を向上させる
  4. インタラクティブなページをつくる
  5. 訴求効果の最も高いページへ必ず誘導する

「ウェブサイトではウソを書かない」と前提条件を定めるなら(ウソを書いているサイトはいくらでもあるから)、自分自身が5点と合致するコンテンツを持っているか否か。持っていなければ、サイトの質は向上しない。

5点は通底している。古くさい表現だけど、ユーザはもうトップページから順序立てて訪問しない。どこからやってくるかわからない。何からアクセスしてくるかわからない。わからない、というのは感覚であって、情報としての「どこから」と「何から」は分析できる(8割は分析で終わる)。

どこからやってくるかわからない、何からアクセスしてくるかわからない。僕は、「固定」を拒絶する。だから、「わからない」がたまらなくおもしろい。そして、また次の10年はiPhoneに「固定」することも拒みたい。すごくおもしろい。