できる人、できない人

先週の土曜日、JR京都駅の地下にあるスターバックスへ。あいにく週末の列。店内で飲食する人は入口に並ぶ。私はスルーしてテイクアウト。数分後、タンブラーを片手に外のベンチに腰掛けた。このベンチ、店のすぐそばにあるから入口の行列とスタッフうかがえる。二組ほどが待ってる列に四人家族がやってきた。外国人。スタッフはお父さんに、「店内で飲食されますか?」と日本語で尋ねたところ、「???」がとびかう。スタッフはすぐさま切り返した。「OK」だが「All right」かのあと、

「ただいま店内が満員ですので店内をご利用なさるときはこちらへお並びください。テイクアウトならこちらから店内に進みオーダーしてください」

みたいなことを英語で説明(知らん、想像の話)。お父さんはニッコリとテイクアウトを告げ、店内に。しばらくして、ニコニコ顔の娘と息子と母親が出てきた。右手にマクドナルドのテイクアウトこんもりバージョンと左手に生クリームたっぷりカップを持って。

行列はとぎれない。常に二、三組待っている状態。そこへ男女の組。男性は両耳に補聴器をつけていた。女性の耳は私から確認できなかった。さきほどのスタッフが先の外国人と同じセリフを今度は日本語で。ゆっくりと。同じセリフをずっと耳にしていた私は速度を掴んでいる。感嘆の声をあげた。

わざと大きな声をあげるでも、イントネーションがおかしいゆっくりとした口調でしゃべるのでもない。いままで説明していた日本語の内容を同じ抑揚でテンポだけを遅めた。

先日、鎌倉へ行ったとき、横浜のHOTEL NEW GRANDに連泊した。

HOTEL NEW GRAND

三日目の朝、山下公園の海が望めるレストランで朝食をいただくとき、あくせく歩き回っているスタッフのなかで、ひとり物腰がやわらかい男性のスタッフがいた。バイキングのチケットを持っていない私はその方にお願いしてメニューを用意してもらった。そのときの説明が心地よかった。ムダがなく淡々とした語り口。それでいて冷たさを感じない。贅沢な朝食をすませたあと、部屋付けをお願いして入ってきたドアから帰ろうとすると、その男性から呼び止められた。

「お客さま、旧館にご宿泊のようですのでこちらからお帰りになられていかがでしょうか。せっかくですので」

キョトンとした私に事情を説明。優しい笑顔でやわらかい口調。男性が手招く反対の方向が旧館へ直接もどれる通路らしい。どうやらサインしたルームナンバーから察知してのこと。なるほど「旧館たる所以」を味わえた。マッカーサー元帥が執務室に使っていた客室、その隣室の318号室を大佛次郎先生が愛用されていた旧館。客室だけの堪能ではもったいない。ありがたかった。一声かけてくれて。

HOTEL NEW GRAND

旧館のロビー受付口。この階段を降り立った数々の要人の姿を思い浮かべる。旧館に宿泊できてよかったと思い、あの男性のスタッフに感謝。

できる人、できない人、両者に関心あらず。両者の差異に目を向ける。どちらに出会おうとも笑顔でふるまえと我が身を律する。