手 あなたの顔にそっとふれる

パピエ

神楽坂がにぎわっている。一話から皆勤、毎度何かが心に残る。「おかみさんが壊れました」なんて台詞、つきささる。あえて”壊れました”なのか。倉本聰さんのどんな想いが”壊れた”の裏側にこめられているのか。

エンディングの写真も響く。構図がすてき。モノクロに映し出される露出に感じ入る。「白」と「黒」だけのはず。でも二色でない。いくつもの中間色に彩られる。ヤマモトヨウコさんの写真を前にしたとき、自分が色を見ていないことに気づく。ぜんぜん見ていなかったのだな。そしてエンディングの歌。森山良子さんの「手」

それは 花をちぎり 川を汚し 空も奪う あふれる 光は どこ

それは 傷を残し 嘘を隠し 壁を作る 同じはずの 言葉が ない

でも それは 闇に 明かり 灯すことができる きっと そばで 眠る 人に 思い 伝える

答えは・・・ その手で

生涯あなたの顔にふれていたかったけど、愚かにもそれができなくなった。あのときあの場所で、「今」を知らなかった。知っていれば手を握りしめていただろうし、顔をなでていただのだろう。今ではその手のぬくもりさえ記憶から引き出せない。でも、答えはこの手でつかんでみせる。