心理学ガクブル

琵琶湖

内面的な体験とか外面的な観察とかいっても、一方だけがあるのではなく、最初から同一物の内外として両方ともそなわっているのである。ただ外部的対象としての観察を精細にしていけば、自ら物理学的世界が定立されることになり、内部的な心の動きとして忠実に表現しようとすれば、心理学の世界に入っていくことになるだけである。両者がもともと同じ源から発していることは、疑う余地がない。

『目に見えないもの』 湯川 秀樹 P.69

Gilt Groupeが日本へ上陸した模様をガイアの夜明けが放映していた。3月にウェブサイトをオープンして1週間で10万人の会員を集めた。創業者のAlexisとAlexandraは日本の市場は有望だとインタビューで答えていた。目を丸くするようなノルマがサイトへ課せられ、日本法人の社長以下スタッフは東奔西走。商品の在庫が追いつかない。サイトへ出品すれば売れる。そんな勢い。

特徴は、

  1. 招待された人だけが楽しめる優待ショッピング。
  2. すべて時間限定セールで買い物は先着順。
  3. 注目のセールや見逃せない情報を案内。

ビジネスモデルは単純。

百貨店や小売店から売れ残った(と僕は受け止めた)商品を現金で仕入て、ネットで販売。ただそれだけ。売る側は在庫を処分したいから原価に近い価格で売ってしまう。だから、「最大で市価の70%OFFのご優待価格にて 人気高級ブランド」を購入できる。

女性会員が購入する一部始終を眺めていた。「心理学」をうまく活用している。見事の一言。

  1. 定価が表示された上での価格(定価210,000円,価格84,000円)
  2. カートに保留できる時間は15分(だったと思う)
  3. 販売終了した商品をすぐに”SOLD OUT”と表示

もし、店頭に定価50%OFFの洋服があり、試着はできないけど、自分が着た様子を検討できる時間を15分だけ与えられたとしよう。あなたならどうする?

サイトになると、まるでオークションへ入札しているような気分なのかな、と想像した。女性はとりあえずどんどんカートへ商品を保留して検討。否、「検討」というよりも、「納得」する理由を探しているかのよう。そして、ブラウザの画面を商品一覧へもどすと、先ほどとは違う様子。「SOLD OUT!」が並び始めた。それが、「納得」の理由。女性は10万円超の買い物にご満悦だった。

市価の70%で購入できる原因はある。たとえば、百貨店からの返品商品。では、返品される理由は何か?

だけど、そんな原因と理由をウェブサイトはどこにも表示しない。あたりまえ。そして、会員はそんなことを探索する暇もない。百貨店は売れ筋から売れない商品を並べる。見向きもされない商品もある。

他方、サイトは定価×%OFFと商品が並ぶ。どれも「売れ筋」から「売れない商品」までのような売り場じゃない。「お買い得」が並ぶ。このあたり直言してしまえば、野暮だからあえてぼかします 😆

良い悪いじゃなく、定価と価格、それに価値、そういった手法を一考して心理学をうまく利用すれば互いが良好な結果を得られるケースもあるんだな、なんて考えながらテレビを眺めていた。