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開いた扉をいつ閉じるのか

奈良で買ったパン

三人に共通しているのは、「オープンマインド」ということである。
いつもにこにこしている。
これは「たまたまそういう人だった」ということではない。
この方々は、人間は「理解しがたいこと」を受け容れ理解しようと願い、それを受け容れるために脳の容量を押し広げているときに脳の情報処理能力が最高速になることを体験的にも理論的にも熟知しているからである。
「心を開く」ときに、脳の演算能力は向上し、「心を閉ざす」ときに、脳の機能は劣化する。
怒ったり、憎んだり、嫉妬したりしているときに知性の機能が上がるということはない。

via: 河合塾でお話 (内田樹の研究室)

Kさんから話を伺っていて、ぼくの欠点を認識できた。それを内田樹先生がエントリーで表現してくださっていた。まさに、

自分と意見の違う人の頭の中ではどういう推論がなされているのかを想像的に追体験してみる

via: 河合塾でお話 (内田樹の研究室)

が、欠落している。ぼくはこのプロセスを体験していないから、他者との会話不全に陥っているんだな。理解できた。意識して行動しよう。追体験しよう。

[Review]: クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

《日航機123便は長野・群馬県境に墜落した模様!》ーーーーー北関東新聞の遊軍記者悠木和雅が友人の安西との約束を果たすため帰宅しようとしたそのとき、共同通信社の「ピーコ」が伝えた。日本航空123便墜落事故、それは「単独の航空機事故としては世界最大」を伝えるはじまりだった。死亡者数は乗員乗客524名のうち520名、生存者は4名。完全遺体492, 離断遺体1143, 分離遺体351, 移棺遺体79, 総合計2065体。完全遺体のうち五体がすべて揃っていたのは177体、離断遺体のうち、部位を特定できたのは680体、部位不明の骨肉片は893体。遺族の方々はいまだ癒されることなく、何かすがって懸命に生きている。『クライマーズ・ハイ』は地方記者の現場が描かれている。だから、事故の一報を受けたあと「どっちだ?」が当初の最大の問題だった。群馬なら「ウチの事故」、社の総力を挙げなければならない。若手は「めぐってきたチャンス」にはやる気持ちを悠木にぶつける。世界最大のヤマを誰よりも早く踏みたい。かたや年嵩の男たちは精彩を欠く。

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[Review]: キッチン

キッチン (新潮文庫)

「自分は実はひとり」って感じた瞬間、目の前の景色の輝度とコントラストが高くなって、色彩があざやかになったかな。アンニュイの質もポジティブに。ときにネガティブも。ゆらゆら。時間はスローに空間は無に近づいて。「ひとり」ってフィジカルじゃなくてメンタル。そんな日常を掬いとっているのは私だけと思わない。でも、「自分は実はひとり」と感じた瞬間、ぜんぶわからなくなった。コミットメントとインディファレンスを往来しているような。

私、桜井みかげ“は文字どおり「ひとり」。どんな感じかな。

彼女たちは幸せに生きている。どんなに学んでもその幸せの域を出ないように教育されている。たぶん、あたたかな両親に。そして本当に楽しいことを、知りはしない。どちらがいいのかなんて、人は選べない。その人はその人を生きるようにできている。幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ。私も、そういうのいいな、と思う。

『キッチン (新潮文庫)』 吉本 ばなな P.82

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[Review]: 21Grams

21g

『21グラム』 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ

監督は、『バベル』アレハンドロ=ゴンサレス・イニャリトゥ。彼の映画にはひとつの特徴がある。それが、「時間軸の交差」。物語が過去・現在・未来の直線に展開するのではなく、それらが細かく交差し、まるでジグソーパズルのピースのように映し出される。そして、最後に1枚の絵が完成する。

だから観ている者は、最初とまどうかもしれない。過去・現在・未来が細切れにバラバラにされ、たくみな編集によって最高値構築される世界。観ている者は、眼前の映像が直線に展開していると誤解した瞬間、理解から遠く離れた自分を自覚する。それでも交差する時間軸と映像に魅了されてしまうのはなぜだろう。過去と現在の映像と映像が象徴となる物質や音声でつながれていく。

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[Review]: トラフィック

トラフィック

「もっとも印象に残るラストシーンをひとつあげなさい」と問われたら、指折り数えるなかでこの映画がまっさきに折られるだろう。場所はTijuana、夜の公園に照明がともされ、子供たちが野球をしている。ごくごく平凡なラストシーン。でも、2時間以上にわたって観てきた私は、このささやかな情景が特別な未来をもたらす可能性を秘めていることに気づかされる。

アメリカを揺るがし続けて久しい麻薬犯罪コネクション。そのルートのもとであるメキシコで、組織に翻弄(ほんろう)されながら職務をまっとうしようとする捜査官(ベネチオ・デル・トロ)、アメリカで麻薬ぼく滅に乗り出す国家の責任者(マイケル・ダグラス)と麻薬におぼれるその娘、また夫を救うために麻薬ルートに手を染めざるをえなくなっていく妊娠中の専業主婦(キャサリン=ゼタ・ジョーンズ)などなど、多彩なドラマを同時並行させながら、麻薬戦争の全貌を追うスティーブン・ソダーバーグ監督の問題作。

『トラフィック』 スティーブン・ソダーバーグ

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[Review]: 想像のレッスン

〈想像〉のレッスン NTT出版ライブラリーレゾナント015

「一人で食事をする」と「数人で食事をする」—–仮に同じものを食べたとしよう。違いは何か?

想像力というと、よく論理的な思考と対比される。空想や夢想はそうなのだろうが、想像力はちがう。眼の前にあるものを足がかりとして、眼の前に現れていない出来事や家庭をのびやかに想像すること、あるいはそれを論理的に問いつめてゆくこと。これは、科学や宗教や芸術、あるいは政治や倫理や<他人への>思いやり、それらのいずれにおいても根のところで働いているはずの、わたしたちの力だ。それがいまひどく萎縮している。

〈想像〉のレッスン P.27

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恋ノチカラ

恋ノチカラ

恋ノチカラ4巻セット

—–この世に生まれて三十年と六ヶ月十九日。もう恋をすることなんてないだろうと思っていた。

ドラマの冒頭に流れるテロップ。これがコンセプト。先日再放送していたので全話録画 😀
もう何度目だろう。今回は、「すみからすみまで見てみたい」と思い録画した。

何度観ても胸にジ〜ンとくる。役者さんの「顔」がステキ。なによりプロットが単純、でもセリフが突き刺さってくる。キャスティングのほとんどがかぶるやまとなでしこにも有名なキャッチがある。「今日は、たった一人の人に出会えたような気がする」 by神野桜子(松嶋菜々子)。その最終話では

わたしには見えるんです。20年後のあなたが。 残念ながら、あなたのそばにいるとわたしは幸せなんです。

なんて名セリフがとびだし、「残念ながら」が一風かわっている。思えば、プロットがよく似た101回目のプロポーズでは、真壁芳之(長谷川初範)の次の言葉を矢吹薫(浅野温子)が忘れられず、星野達郎(武田鉄矢)がトラックにつっこむ名シーンを生み出した 🙁

ボクは誓うよ。50年後の君を、いまと変わらず愛することを。

男女七人秋物語金曜日の妻たちへにも心に残るセリフがたくさんある。実家に帰ったら録画したビデオライブラリーを引っ張り出す。これまで両手足をこえるほど観てきた。

プロットがシンプルであればわかりやすい。だが「わかりやすい」だけなら、「何か」を残せないと思う。そこに「(考えぬいた)セリフ」が付加され、それを象徴する「映像」を演出できたとき異彩を放つ。かりにプロットがミミクリーであってもオリジナルが宿るのじゃないかな :8

リアルなマネジメントもウェブのマーケティングも同じ(だと思う)。