[Review]: 知的な距離感
この本で説明するプライベートエリアという言葉は、「プライベート(私的な)」という単語と「エリア(空間)」という単語の組み合わせです。心理学や行動学では「パーソナルスペース」と呼ばれることもあります。簡単い説明すると「他人に侵入されると不快に思う空間」です。
しかし、これは土地や住宅の話ではありません。いま本を読んでいる、あなたの周囲をオーラのように包んでいる、見えないバリアのようなもの、と説明すると想像しやすいかもしれません。
『知的な距離感』 P.23
前田知洋氏の著書。著者は日本のクロースアップ・マジック(観客のすぐそばでマジックを披露する)の第一人者。クロースアップ・マジックのマジシャンは「距離感」を大切にあつかう。観客との距離感をはかりそこねたとき、マジックのネタがバレかもしれない。そればかりか、観客から嫌われることすらあるという。著者自身、「プライベートエリア」をはかりそこねて数々の失敗を犯したらしい。
マジシャンがマジックの経験を土台に書くプライベートエリア。ただし、マジック独特の雰囲気を伝えているのではない。周囲との距離感をはかるふるまいは、仕事場や生活で求められる。それにこたえるかのように、本書では、マジックの話のみならず、歴史、建築、脳科学、行動心理学などにふれている。


