愛嬌たっぷりの耳毛

愛嬌 接する人に好感を与え、思わず話しかけたくなるような親しみを誘う物腰。

『新明解国語辞典 第6版 並版』 山田 忠雄 (3)

愛嬌たっぷりの顔、そんな人に出会うと羨ましい。愛嬌って抽象的だし視覚的やけど、ユニークな基準が何となく頭に格納されとる。その基準を他人と共有するようなシーンになかなか遭遇せん。ああ、そういえば、愛嬌、って単語を会話で使わんな。ご愛嬌はあっても。

愛嬌たっぷりの尻。そんな赤ちゃんと出会うと羨ましい。自分もおむつをすればああなるやろかと妄想してまう。尻をふりながら歩く子供は愛玩動物みたい。本来ならばおむつをつけた尻が主役であるはずなのに、様態が脚光を浴びる、と自分は思うとるけど、ちゃうみたい。

愛嬌たっぷりの耳毛。そんなお年寄りに出会うと羨ましい。自分も将来ああなるんやろかと想像してしまう。今は産毛?!の段階で耳毛を抹殺してる。発見した衝撃と抜いた痛覚(鼻毛を抜くほどではない)。ほんのわずかにカールした超短い耳毛。他人の耳毛は愛嬌をふりまいているように映るのに、自分の耳毛を愛嬌のある奴と褒めてられへん。なんで?

愛嬌はげに面妖奇怪な表現で、しばし人を笑わせるが、使うとなるとよく理解せずに使っている。便利やな。