I only said what anyone would have said

琵琶湖

不安とは、じつは「なにか」に対する不安ではない。不安という気分が先にあり、その気分がただちに「なにか」と結びつくのである。だれにとっても自分の死の正体は不明である。したがって不安と死は結びつきやすい。しかし、だからといって、死が存在することが、かならずしも不安を生じるわけではない。だれでも自分が死ぬことは知っている。

『カミとヒトの解剖学 (ちくま学芸文庫)』 養老 孟司 P.140