マイスター・ゼクンドゥス・ミヌティウス・ホラ

琵琶湖疎水の桜

「あの人たち、いったいどうして灰色の顔をしているの?」モモはめがねのむこうをながめながらききました。

「死んだもので、いのちをつないでいるからだよ。おまえも知っているだろう、彼らは人間の時間をぬすんで生きている。しかしこの時間は、ほんとうの持ち主からきりはなされると、文字どおり死んでしまう。人間はひとりひとりがそれぞれのじぶんの時間をもっている。そしてこの時間は、ほんとうにじぶんのものであるあいだだけ、生きた時間でいられるのだよ。」

“モモ (岩波少年文庫(127))” (ミヒャエル・エンデ) P.225