駆ける蹴る充ちる

近江大橋

俺の精神よ、気をつけろ。過激な救いにくみするな、鍛錬を積む事だ。ーーーああ、科学は俺たちの眼にはまだるっこい。

ーーーだが、どうやら俺の心は眠っているようだ。

俺の精神が、この瞬間から絶えずはっきりと目覚めていてくれるものとしたら、俺たちはやがて真理に行き着くだろうに。

“地獄の季節 (岩波文庫)” (ランボオ) P.45

03/28、07:30西大津出発。GIOS PURE FLATで駆ける。西大津から近江大橋を渡って草津へ抜け、来た道を帰ってきた。朝の琵琶湖をはじめて走った。ゆったりと走る。思ったほど人はいない。喧噪はまだ目覚めていなかった。GIOSが空気を切り裂くと風の音が耳へ入ってくる。心地よく響く。スピードに合わせて空と風の音楽はリズミカル。

朝の琵琶湖に虜になった。これから暖かくなる。すごく楽しみ。曇り空から一筋の光が琵琶湖へ降りてくる。あぶない。見惚れてしまいそう。

鎌倉へ引っ越せたら、琵琶湖の朝と同じように魅せられるだろう。期待が膨らむ。まだ実現の足がかりもつかめていないのに、朝の鎌倉を蹴る自分の姿を空想する。

速度×時間。時間の流れとよどみ。朝は流れがゆったりでよどみは少ない。前からGIOSのPANTOがやってきた。空気が揺れる。あの人の時間はどんな感じだろう。ランナーが視界へ入り、後方へ消えてゆく。自転車とは異なる音。地面を蹴る音と鼓動。

充ちる。何が充ちたのか。それを感じるためにやみつきになる。