ここでお断りしておきたのは、現在にでは、本人に不具合の自覚症状があり、整体的アプローチを希望する方に限って、本書で述べたような総合的治療を行っています。当院は保険適用医ですが、この整体的診療の場合は、保険適用外となります。「整体をする歯医者」という特殊な立場で、長年治療してきた経験から、無用なトラブルを避け、理解のある患者さんへの治療に専念するため、そのようにしています。
インプラントや歯科矯正のトラブルを抱えた方には納得のいく金額でしょうが、興味本位でちょっと身体をいじってほしい、という方には高額に感じると思います。“歯はいのち!―気持ちよく噛めて身体が楽になる整体入門 (文春文庫)” (笠茂 享久) P.222
タイトルへ目線が釘付け、あとがきに興味をそそられ購入した。歯に限らず、医療や食の本を読むとき、注意している点はひとつ。神経質にならないこと。知識を蓄えたい。だけど、本の記述について医学的判断を下せない、という前提を忘れてしまうと、都合の良い箇所だけ切り取ってしまう。本末転倒。
とにかくおもしろかった。
- 歯はクッションの上にのっている
- 噛み合わせは周囲の筋肉で簡単に変わる
- 歯科医が整体的視点からアプローチするわけ
- アングロサクソンと日本人の噛み合わせ
- 全身のバランスのなかで調和を図る
- 二足歩行は高度な動きでそれに合わせた口腔内
- 口のねじれと内臓の関係
- 腹圧の調整
- 噛む力と学習効果
ひねくれた見方をしてしまって申し訳ないけど、上手な営業だなと感心した。冒頭の引用文はあとがきに記されている。それまで、
- 理論と研究結果を紹介
- 1.から「噛む」がいかに大事かを説明
- 「噛む」には全身の調整が必要
と、典型的なマーケティングの
- 理論(疑似じゃないよとアピール)
- 専門分野の優位性を説得(“比較”の論法を駆使)
- 自分でできるメソッドを掲載(“無料おためし期間”を設ける)
本を読んで試しに自分でやってみて、「自分の身体への関心」スイッチをオンにさせる。ずっと続けられる人は少ないだろうけど、少なくとも「興味」を抱く。それじゃ、一度先生に診てもらおうか、と「行動」の回路をつくってあげる。
だけど、「ちょっとだけ関心を持った」人を選別しなければならない。無礼な書き方をすれば、効率が悪い。本を読んで我も我もと駆け込んでもらっては困るから、あとがきで釘を刺しておく。文庫版あとがきにはもっと踏み込んで宣言している。
ちなみにぼくはいまのところ三大メソッドを続けられている。三日坊主はまぬがれた。だけど、いつまで続くやら。
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