買うのは好き、嫌なのは所有すること

そうよ、お金は儲けるために夢中になるのじゃなくて、使うためこそ夢中になるべきよ。稼いだお金はわたしたちに理性があったということの証明にすぎない。事業でも一枚の服でも、もしそれが何一つ得にならないとしたら、失敗したというだけのことだ。[…]真の文化は何かをそぎ落としてゆくが、モードにあっても、美しすぎるものから始まってシンプルなものへ到達するのが普通だ。
このことはまたモードの話のときにもふれるけれど、ここではさしあたり、お金がなくてもエレガントになれるとだけ言っておくわ。

『シャネル―人生を語る』 P.166