ラテラルシンキングはミステリーから

浜大津の長等商店街の中に、”手作りホットケーキの店 Heart”がある。雑誌の特集記事を読んで、散歩の途中に立ち寄った。地図を頭に浮かべて歩いていると、うっかり通り過ぎてしまいそうになった。自宅を改装したとのこと。

手づくりホットケーキのお店 Heart

「ホットケーキ セット」と注文すると、「大きいですよ」と女性が控え目に声をかけてくださった。ご主人は脱サラらしく、手づくりホットケーキのお店をやりたかったと、他のブログで読んだ。声をかけてくださった女性は、ご主人のお母様。お母様の控え目な声が、妙に気になったので、「じゃぁ、ハーフセットで」とおそるおそる注文した。

デザートとヨーグルト

フルーツとヨーグルトが、先にテーブルに運ばれてきて、それを食べている間にホットケーキを焼いてくれている。驚いた。これにドリンクが付いて400円。いや、コレって、いくら自宅だからって、赤字じゃないだろうか、といらぬ世話を焼きかけた。自重自重。

手づくりホットケーキ

今度は、開いた口が塞がらなかった(誤用かも)。こ、コレでハーフ?! それじゃ、フルは? 馬鹿な僕は、ハーフってフルを半分に切って出てくると思っていたけど、よく考えたら、そんな形を用意する方がめんどくさいか。ホットケーキを運んでくれたご主人が、「雑誌に載っていたのは大きいですよ」とすごく素敵な笑顔で話してくれた。低い声が印象的。聞き間違えでなかったら、フルは直径30cmほどらしい。

できたてホカホカのホットケーキを口に運んで、三度目の正直、ならぬ魂消る。すごくおいしかった。ふかふかの生地がよかった。

自分の既成概念を疑うのは難しい。ハードカバーのビジネス書を読まなくなって、本屋で歩く範囲が少し狭くなった。ただ、どこか不安な気持ちを抱いている。情報を仕入れなくて大丈夫だろうか、と。漠然とした焦燥を認識して、発想や視点を涵養したい。

ビジネス書の代わりにミステリーや小説を読んでいる。学生時代、ミステリーや時代小説に没頭した。ミステリーや小説は、ラテラルシンキングにうってつけだ。だけど、気をつけないといけない。ミステリーのハウダニットやホワイダニットを読んだとき、筆者の発想を獲得したような気分に浸れる。読了までに気づけば、なおさら。いずれも錯覚。

錯覚を自覚したうえで読む。いつか、「ああ、やっぱり同じ発想を持つ人がいたか」となりたい。ミステリーや小説の視点や発想を、仕事の現場と関連づけられるか。着眼と関係。認識。気づかなければならない。迷宮に迷い込んだ組織は、案外、多いかも。