価格? デザイン? 文化?

エディ・バウアーの大津パルコ店が、9/30で営業終了するとのこと。さっそく行ってみた。2007年に開店して、1年ほどで撤退。THANKS SALEのハガキには、「諸般の事情」と書いてあった。5Fにある紀伊国屋書店へよく足を運ぶので、諸般の事情がよくわかる。

エディ・バウアー大津パルコ店営業終了

店内の洋服は、20〜30%off、秋物の新着は定価のままだったので、別の店にまわすのかな。それにしても、安いなぁと思った。ボタンダウンの長袖シャツなんて2,900円ほどで売っていた(50%以上のOFF)。パッと見た限り、デザインやつくりに不満はない。だけど売れてない。それもそのはず、店内にお客がいない。閉店セールに客が来店しないのだから、1年間の営業も推して知るべし。

パルコの壁

1時間ほどウロウロした。その間、何がダメなのか思いを巡らせていた。価格, デザイン, 文化, 接客, 雰囲気…、自分でバカだなぁと呆れるけど、どうしても何がダメなのかなぁと観察してしまう。ユニクロより高い。GAPとテイストが似ているようでそうじゃない、だけどテイストの違いがわからない。パンフレットを眺めると、湖や山、草原を背景にしたモデルの写真が多い。とにかく伝わってこないことだけが伝わってくる。

店を出たあと、すぐ目の前にあるユニクロをのぞいた。こっちは人、人、人。キャンペーン中らしい。レジには20人ほど並んでいるし、6,7つある試着室も列を作っていた。店内の人は、ぶらぶら歩くより、買うぞと意気込む人のほうが多いように感じた。どんな人が買い物に来ているのか、ひととおり眺めて、店内のスタッフの動きとアナウンスを聞いて、ユニクロを出た。価格の訴求力を再認識。

伊丹十三氏の『スーパーの女』に、「安かろう悪かろう」というセリフがある。今なら食べ物にフォーカスがあたるし、他にもあてはまる商品はたくさんある。洋服に付けられたMADE IN CHINAのタグを見て、座りの悪い感情が交錯。しょうがいない諦めと昔ほどダサクない納得感が、しょうゆとんこつのようにからまっている。色やデザインもおかしくないといえばおかしくない。

洋服のような「形」の商品ですら、「伝える」ことが大切になってきた。ましてや、「形」のないモノは、「伝えなければならない」ことが商品だ、とメモしておいた。