価格を決める人 価格に従う人

Amazonのマーケットプレイスをウロウロしていると不思議な価格に巡り合う。たとえば価格¥840の新刊文庫があるとする。 ふつうの中古商品ならこの価格を下回る。ただし、希少本やマニアックなたぐい、絶版の名著とかは上回る。ところが、なかに価格¥600なんてつけられている中古商品が散見される。この場合、マーケットプレイス送料¥340をプラスすると¥940になって新刊より高い。不思議だ。一見すると、中古価格 > 新刊価格の法則にあてはまるような中古でもなさそうだけど。

開業してはじめに悩んだのが「価格」だった。いまでも悩む。サラリーマンだったころは、「価格を決める人」ではなく(エライという意味じゃなく、ただ無能だった)、「価格に従う人」だった。それでよくお客さまの会計のアドバイスなんてしたもんだなぁと良くない記憶を思い出す。「価格」は積み上げだと言う人がいる。固定費・変動費の一部を積み重ねて算出する方法。そのとおりだと思う。別に専門的に何かを知っているわけじゃなく、現場の皮膚感覚から頷ける。

だけど「価格」は積み上げだけで決められない。むしろ「価値」の価格に頭を抱える。価値は相手が判断する要素かもしれない。だからといって考えなくてもいいのかというと違うと思う。価格に含まれる価値と含まれない価値。価値、評価、絶対値……。そうやって「価値」について考え始めると、「価格を決める」ことは「価値を考える」プロセスのひとつであって、その思考をたどれば、「経営」という裾野へ広がると思う。

ちなみに「価格に従う人」はコストへの意識を欠落させてしまっているのかと疑ってしまうシーンもしばしば。そういう人はプロモーションの取り組みもめちゃくちゃくで、「何のために、何を伝えたいのか」わからない。

「価格を決める人」が「価値を考える」プロセスをたどって「経営」に広がるのか、その逆、そう考えられる人が「価格を決める人」になるのか、私にはわからない。私はそんな「価値」がある人じゃないので。そこがいちばんツライ。