7×7=49

すベてがFになる (講談社文庫)

『ベア速 12×12=144の素敵さ加減』のスレがたまらなくおもしろい。「7は分数にすると美しい」にうっとり。『すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER』に登場する真賀田四季が、西之園萌絵とかわす冒頭の会話を思い出す。書棚からひっぱりだして再読。ちなみに私はミステリィを読まなくなった(大学まで読んでいた)。「誰がどのように殺したか」に興味を抱かなくなったから。ミステリィの目的はエレガントなトリック。その目的に関心が薄れた。だけど、森博嗣先生のS&Mシリーズ真賀田四季は別格(Vシリーズは位相が違う、だけど堪能)。エレガントなトリックは手段。では目的は何か? わからない。考えろと読者に啓示しているかのよう。ゆえにいまだに再読する。答えは知っているけど、問題を考えたいから。

真賀田四季は面会に訪れた西之園萌絵に指摘する。

「いいえ、貴女は気がついていないのね。初めて九九を習ったとき、貴女は、7の段が不得意だったはずよ。幼稚園のとき? もっと小さかったかしら? 7は特別の数ですものね。貴女、兄弟がいないでしょう? 数字の中で、7だけが孤独なのよ」『すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER』 P.12

そして問いかける。

「[…]1から10までの数字を二組に分けてごらんなさい。そして、両方とも、グループの数字を全部かけ合わせるの。二つの積が等しくなることがありますか?」

「ありません」萌絵は即答した。「片方のグループに7がありますから、積は7の倍数になりますけど、もう片方には7がないから、等しくなりません」

「ほら、7だけが孤独でしょう?」真賀田女史が言った。 同 P.16

「7だけが孤独」って美しい響きだなぁと思った。そして7×7は49。日本人なら忌み嫌われる数字が二つ並ぶ。

孤独と孤独を乗ずると死と苦が訪れる。なんとも美しい凛とした数式だと思う。