不安で立ちどまりかけた私を

金曜日、午前中はWordPressのデザイン制作に四苦八苦。夕方からM先生とミーティング。そのまま重ね土器。城山三郎先生が不安で立ちどまりかけたとき、先生を励ました先輩作家が二人いたという。私にとってはM先生がそれにあたる。いや、最良の師。いままで幾度となく杯を重ねていただき、その時間と空間から金言を賜った。先生の言葉はしなやかに道理を詰む。不思議な感覚。言葉のひとつひとつが凛としていて、渇いた私の身体に潤いを与える。不安で立ちどまりかけた私を、前に向くよう導いて下さった。ありがたい。

相酌一刻、そこへOさんが現れた。場所が近いこともあって、M先生にお会いする前に会っていた。本日、二度目のお目通り(笑)

M先生を起点とした私とOさん、あるいはM先生とOさんのやりとりが楽しい。特に海外経験が豊富なOさんにM先生があざやかに応対する様を目の前で堪能すると、贅沢だなぁと心中にんまり。

その日はいつもより少し多めにビールを飲んだ。場所は四条河原町。いつもならタクシーに乗って京都駅までだが、どうも身体がすんなり向かわない。よほど心地よかったのだろう。四条河原町から烏丸四条へ、そして烏丸通を京都駅へとぶらぶら歩いて帰った。金曜日の夜、いくつもの集団とすれ違う。みな笑っている。そこへひとりニコニコしながら歩いてすれ違う。怪しい奴だけど、それは自意識過剰というもの。誰も見ていない。森博嗣先生の「混ぜる」が脳裏によぎる。日本人はいっしょに遊ぶとき、「混ぜる」という。英語のミックス。液体をいっしょにするときの言葉。他方、欧米はジョイン。つながる。液体の社会の日本と固体の社会の欧米。リキッドな日本人。

西之園萌絵と同じ質問を浮かべる。「現実とは何か?」

「現実とは何か、と考える瞬間にだけ、人間の思考に現れる幻想だ」犀川はすぐに答えた。「普段はそんなものは存在しない」 『すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER』 P.357