点と点の過去 孤独がつなげる

「こんなはずではない」と自分に憤る。そして未来を求めて「今」から去る。そのとき尋ねられるなら次の言葉を尋ねてみたい。

「未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけだ。だからこそ、バラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない」

(スティーブ・ジョブズ)

過去を振り返っただろうか?

無所属の時間で生きる (新潮文庫)

『無所属の時間で生きる』が書店に並ぶ。どこにも関係のない、どこにも属さない一人の人間としての時間。関係と時間。孤独へ溶け込む。

自宅が世界遺産に登録されているメキシコの建築家、ルイス・バラガンは生涯独身を通し、多くの時間を自宅での瞑想に費やしたという。自宅のダイニングの壁には「孤独」と書かれた皿が一枚掛けられており、「孤独とは良き友のことだ。」という言葉を本人も残している。自宅で一人、人と建築の関係について考え続けたのだという。最初にこの事を知った時、僕はうさんくさいなど通り越して、ぞっとするような畏怖の念を覚えた。

via: 弱者からの革命 – jkondoの日記

「孤独とは良き友のことだ」の言葉。はてなの創業者は畏怖の念を抱いた。私はぞっとしない。親しみを覚えた。同時に、懐かしさも。高校で教わった言葉。

連帯を求めて孤立を恐れず、 力及ばずして倒れることを辞さないが、 力尽くさずして挫けることを拒否する。

『東大安田講堂落書き』

「孤立」と「孤独」は同義語だろうか。私は違うと受け止める。孤立は絶望、孤独は希望。「孤独」を恐れない。「無所属」は心地よい。大勢に囲まれても「孤立」、「孤独」であっても誰かがよりそっていてくれたりする。自分を削りながら「孤独」と真摯に向きあうとき、「優しい」が姿を現す。他者の優しさが身体に染みこみ、他者の言葉が琴線にふれる。

孤独は対話を生む。ひとりしかいないはず。自分と何かの「関係」について、「他者である自分」との対話がはじまる。無所属の自分が、所属している自分を眺めて、「かかわること」を考える。思考は言葉へ。言葉を放擲して突き刺す。

言葉を放擲した自分と放擲した言葉が突き刺さった自分、両者の差異。差異に孤独があり、絶望の淵にたって希望への橋を架けようと深淵をのぞきこむ。

孤独とは礼節をもたらす使者のこと