トランス脂肪酸を食べますか?

なんであんまり報道されないのかなぁ。「大人の事情」ですかねぇ。年末に発表したミスドのプレスリリース(参照: ミスタードーナツ主力商品 トランス脂肪酸低減(平均約83%低減)に成功)。

翻って日本。厚生労働省の特定保健用食品認可を受け、ヘルシークッキングオイルとして売っている花王「エコナ」がTFAを多く含んでいるにもかかわらず、「健康」を前面に掲げている状況。内閣府食品安全委員会によると、日本人1人当たりのTFA摂取量は1.56グラムと米国人成人の5.8グラムに比べはるかに少なく、そのためかあまり問題視されていない。ただ、日本人の食生活も若者を中心に、ファストフードへの偏食が進んでおり、米国並みに危機感が高まるのは時間の問題だろう。

ミスタードーナツ全店で「トランス脂肪酸」排除の波紋:FACTA online

ミスドが低トランス脂肪酸(TFA)油を全店に導入するとのこと。アメリカのスタバは全店米国とカナダの全店舗約1万500店で、「トランス脂肪酸」を含む食用油の使用をやめると発表した。北米以外でも使用中止を進めていて、マフィンやサンドイッチなどすべてのメニューで、トランス脂肪酸を含まない食品を提供している。日本のスタバはトランス脂肪酸を利用しているはず。

なんでもかんでも米国へならえは勘弁してほしいですけど、FACTAが指摘するように「危機感が高まるのは時間の問題」かというと首をかしげる。餃子の問題に便乗して「食の関心があるうちにとばしとけ」的記事かも。

新・買ってはいけない〈4〉

「食の関心があるうちに食の話題を提供しよう」って雰囲気があるとしたら、その心は「のどもとすぎればあつさをわすれる」わけで、もし、「のどもとすぐればあつさをわすれていない」程度の食への関心をもっていれば、「へっ? 何でそんな記事が話題になるの」って豆鉄砲をくらう。

トランス脂肪酸を排除せよはちょっと…..

もともと日本人の摂取量は少ないからトランス脂肪酸を問題視しない、という姿勢よりもスポンサーへの配慮と勘ぐりますね。「エコナ」が「いいですよぉ〜」とCMされている一方、買ってはいけないですよと書かれても動じません。なにせスポンサーですから。ただ、むやみやたらに叫んでも何が問題なのかふれずに叫ぶのはアジっているだけなので。以下、参考を。あくまで参考です。

トランス脂肪酸 – Wikipedia

こういうったとき、「たべるな!」とシュプレヒコールすると原理主義化した運動になって理性を失う。その結果、「江戸時代にかえろう」なんてアナクロニズムな「自然食」へ突進したり、「マクロ+ビュオティック」の合成語をつくってみたり。気づいたらそれらが「市場」になって何が何やらわからん状態に。「食欲よ偉大なり」と嘆息。

慌てず騒がずクールに

身もふたもない言い方をすれば、(昨今の餃子騒動で直面したように)日本の加工食品からトランス脂肪酸を「排除」しようなんて不可能。企業がだまってないし、国も大丈夫だと加勢する、そもそも「問題」をマスコミは報じない。CMつかないし。

有機リン系を一時的に摂取してダメージを受けるのもかなわんけど、「どこでも手に入って多くの加工食品に使用されているトランス脂肪酸」を摂取して何の反応もないまま数十年過ごした後、万が一の確率(実際の確率なんて知らんけど)に掛け金を置くのとどっち? って尋ねられたら、「両方ともそもそも食べる必要があるのか?」と私は問い返す。

なんというか慌てず騒がずクールにトランス脂肪酸を除去しましょうよって話。「排除」じゃぁありません。そうしたら愕然としました。だって「現実」を「見える化」した途端、否が応でも「慎ましやかな食生活」になります。

それだけ食べられないのです。で、もとをただせば、そんなに食べなくていい自分もいてたりしてびっくりします。ただ蔓延するミーイズムとは距離をとっているつもり。あくまで”つもり”ですが。