歯科医もワーキングプア

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)

ワーキングプアが深刻なのかと眺めていたら高学歴者(非常に優秀な研究者)のワーキングプアもメディアが報じないところでささやかれ、ヨーロッパでは「千ユーロ世代」が話題にのぼっていたり。で、ついに弁護士はじまったなと思いきや歯科医も。歯科の先生方については何を今さら感が漂ってますが。

歯科業界に限定すればもう少し酷くなるでしょう。需要と供給が不釣り合い。数十年程度先に産科医や小児科医と同じ状況になるまでつづく。ただし、産科医や小児科医ように「やってられねぇや」とつぶやき減っていくかにギモン。あと患者側の認識とシステムに開きがありすぎ。

産科・小児科・救急医療を中心に「医療崩壊」が各地で社会問題化する中、歯科医療がより危機的な状況にあえいでいる。2000年以降の相次ぐ診療報酬のマイナス改定で医療機関の経営が全体的に悪化したばかりでなく、歯科では73項目にわたる保険点数が20年間も据え置かれていることが影響している。歯科医師や歯科技工士らに支払われる診療報酬は先進国に比べ極めて低く、歯科医師の5人に1人が年収300万円以下、歯科技工士の3人に1人が200万円以下の〝ワーキングプア〟状態に置かれているという。

歯科医に広がる ワーキングプア | 医療介護CBニュース – キャリアブレイン

歯科医師の5人に1人が年収300万円以下、歯科技工士の3人に1人が200万円以下。たしかに零細企業や中小企業程度の給料を支払っていたら、個人開業の歯科医院は続けられない。一人開業の歯科医院なら売上の頂点は固定される。青天井じゃない。

おまけに収入の単価を自ら設定できない、自費以外は。肝心の売上は「20年間引き上げられていない」。自費でも「ほんとうに」自己決定できる先生は少ないと思う。インプラントは「商品」じゃないのに「定価」があるわけで。

となると、どこを削るか?

極論すれば時間と支出。時間は診療時間。といっても1チェアー単位の診療時間。支出は給料。1チェアー単位の時間が削られる「意味」を患者は知らない。結果的に一昔前なら(今もそうかもしれないけど)、「根治」しない原因が「ある」わけで。もちろんそれだけが原因のすべてじゃない。あくまで全体の原因のひとつ(知ったかして申し訳ありません)。その原因をサイトにでも掲載すれば「耐震偽装」になるから、とささやく先生もいらっしゃる。良い悪いじゃなく、「そういう」ものといった非対称の事情。

1チェアー単位の時間を削る一方、全体の診療時間をふやす。

「日曜日や深夜まで診療している歯科が増えたのは、(開業時に医療機器等を導入するために負った)借金を返すために寝る時間を削って働かざるを得ない実態がある」[…]歯科医業の収支は、歯科医師数の需給バランスの悪化も影響して、全体的に悪化の一途をたどっている。

じゃぁ、患者は?

患者と歯科医療担当者で構成する「保険で良い歯科医療を」全国連絡会の06年の調査では、歯科医療に対する患者の要望は「保険のきく範囲を広げてほしい」が 00年調査より8ポイント上回って約8割にも達している。[…]「政府の歯科医療軽視政策のもとで、患者・国民の要求に十分にこたえきれず、歯科医師をはじめ歯科医療従事者が苦悩している。先進国の中で日本は虫歯や歯周病の状況は最悪で、長期にわたり改定が据え置かれた項目をはじめ、歯科の診療報酬について適切な診療を確保するための十分な評価が行われるべき」と強調している。

ものすごい「ギャップ」を感じる人は患者側には少ないと思う。至極当然の要求だし。

二律背反。「保健診療の範囲を広げる」ことと「患者・国民の要求に十分にこたえる」こと。こたえようとして、「しっかり治療する」ようになれば1チェアー単位の時間は増える。でも保険点数は変わらない。だから「根っこ」の問題をスルーしてしまう。

「歯は命 歯科医療危機突破10.28決起集会」で訴えるような報告よりもそもそも「歯は命」という意味を患者は理解できない。そういう「機会」に接していない。だから、「もっと保険診療」をと。

再度書く。結構な勢いでギャップが広がっている。それは患者の「中」にも。

私の歯が全部抜け落ちるころに「ああ、そんなたいへんな時もあったね」なんて総義歯で笑えるようになってほしいと思う。

  • 「歯は命」の意味
  • 歯は加齢で抜けるワケじゃない意味
  • 何度も何度も同じに冠をつける理由
  • 治療に低額の保険が支払われ治療の前に保険が支払われない制度
  • 根治に手のかかる治療が安い制度
  • 「歯」を見て「口」を見ず、ましてや「人」を知らない医療

私の望みは歯がすべてなくなっても通える歯科医院。