[Review]: 粗食で生き返る

粗食で生き返る (角川oneテーマ21)

今朝の体重、58.1kg。8月20日、62.4kgからスタートして今。1年かけて56kgぐらいになればと思っているのでまずまずかな。とくだん苦しい思いをしていない。「何をやったの?」と尋ねられたら答える。「粗食だよ」と。ほんとうの”粗食”からはほど遠いけど。ファーストフードと間食をストップ。「お腹が空く」という感覚、幼少の記憶を蘇らせる。そして、玄米と温野菜、煮炊きもの、焼き魚….etcの食事にきりかえ、ゆっくりゆっくり咀嚼。体重は勝手に減っていった。あら不思議。そんな矢先、本屋で出会った。一気に読んだ。確信した。これでいいと。悩める人、ぜひ読んでほしい。

2005年に「食育基本法」が制定され、「食育」はますます注目されています。食育とは、
「さまざまな経験を通じて『食』に関する知識と、『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」
運動です。
農林水産省が中心となり、厚生労働省、文部科学省の3省が協力して取り組んでいます。[…]問題点を指摘するためだけに講演会やフォーラムを開催して予算を垂れ流し、それを改善するための行動はなんら起こしていないのです。
それに比べ、食育に本気に取り組んでいるのが、ハンバーガーやカップラーメンなどを扱うファストフードやジャンクフードの企業です。
こうした食品は、健康を考えると食べないほうがいいものの代表です。少なくとも健全な「食」を考えれば、「食べさせたくない・食べたくないもの」でしょう。

『粗食で生き返る (角川oneテーマ21)』 幕内 秀夫 P.23

ミシュランガイド東京版が囂しい。町中を賑わす”メガ”。(本書の紹介にある)スーパーサイズ・ミーを忘れたようだ。科学的根拠に疑問はあるだろう。沖縄が長寿だと聞けば、世界が注目。そして、「今」だけの食生活を分析し、どうやら豚がいいらしいと仮説をたてる。メディアはグルメ番組でながす。おいしそうに。でも、長寿の方々はいう。

「成長期は豚肉なんて食べられませんでした。豚肉が食べられるのはお祭りなど特別なときだけです」

今の沖縄、55歳以下の年代の死亡率が急上昇。

食を原理主義化するのはきらい。大嫌い。でも気が弱いもんだ。情報に振り回される自分。ああ、なさけない。いい加減、右往左往するのも疲れた。

「食生活に関する本を1冊も読まない人は、たくさんの種類をとることがバランスのよい食事と考え、10冊読んだ人は極端な理論に目が奪われ、30冊読むとノイローゼになり、100冊読むと何も食べられなくなり、200冊読んでやっと落ち着く」P.166

なりかねない。あぶないあぶない。だから「今」から離れよう。遡ってみる。食を忘れ、文化と歴史にふれる。そしたら、「牛乳神話に隠された真実」にうなづける、ヨーグルトを食べるなら漬物で菌を摂取できちゃう、パンもなぁとつぶやいたり。やがて身体が欲する。お酢はないのって。

食はもともと異物だと思う。生きるために食べる、命の根源は異物。必要な栄養を摂取する。そして体外に排出。摂取から排泄までのプロセスをのんびり対話してみると、負担をかけているなぁと実感。必要のないものまで取るのはいかがなもの?

パプア・ニューギニアの高地に住む人が動物性食品をほとんど食べない、イヌイットがアザラシを生で丸ごと食べる、ベドウィン族はナツメヤシの実とミルクが中心の食生活、ドイツやフランスが穀類よりも肉や乳製品を多く食べ、イタリアは穀類が主食…..そうだ!海イグアナなんて進化するんだし。

長い長い年月をかけてそれぞれの土地で育った人々が蓄えた先人の知恵。「知識の食餌」じゃなくて「知恵の食事」。

かつてのがん治療は、
「畑(からだ)に雑草(がん)ができてしまったら、雑草を取り除いたり(切除)、焼いてしまったり(放射線治療)、薬をかければいい(抗がん剤)」
という考え方でした。
最近は、さらに、
「畑(からだ)そのものが変わらなければ、再び雑草(がん)が生えてくる可能性が高い。その繰り返しはしたくないから畑そのものを変えたい」
と考える患者さんや、医療従事者が増えてきているのです。P.52

荒廃した畑を豊穣な畑に変えるのは手間暇がかかる。「豊食」から「飽食」へ、いまでは「崩食」「泡食」「呆食」がならぶ。「生活習慣病」という体のいい名前がつく。実態は「食源病」。

だけど悲観しちゃいない。むしろ楽観的。だって3ヶ月で変わるわけだから。身をもって体感。

「粗食で生き返る」。すてきなタイトルだ。でもその前に体験談の提言。「求めないで生き返る」ってどう?

もう振り回されるのはよそう。何を聴くかじゃなく、何を聞かなくていいのか。何を視なくていいのか。「削る」ことは「何を」という判断が求められる。「求めない」は「何を」の決断がせまられる。これがいちばんむずかしい。それには身体に耳を傾ける。

知識が私たちを手のひらで踊らす。もう踊るのはごめん。でも、この本を手にとったことは許して(笑)