カネで雇用をゆする政治家

時事ドットコム: 賞与返納、再雇用の条件に=社保庁職員処遇で-塩崎官房長官示唆

塩崎恭久官房長官は26日午後の記者会見で、年金記録漏れ問題のけじめを付けるため、社会保険庁全職員に夏季賞与の一部を自主返納するよう求めたことに関連し、仮に返納に応じない場合は、同庁を廃止・解体して2010年に発足させる方針の「日本年金機構」への再雇用を拒否することもあり得るとの考えを示唆した。

カネで私の横面をはたいてくる。

ご本人たちは「せめてもの気持ち」で返納しているのだろ(素直に受け取った方がストレスフリー)。他方、社保庁を退職した職員たちに「カネの責任」を求めない。挙げ句の果てが、上の記事。

社会保険庁は解体され、新たに日本年金機構が設置される。Wikipediaによると、日本年金機構は非公務員型の公法人であり、厚生労働大臣の直接的な監督の下で、一連の運営業務を担わせることとある。

現在の社会保険庁のコストパフォーマンスが芳しくないから解体するはずなのに、夏のボーナスを返上しない職員は再雇用しないかもしれないという。本末転倒をスルーしてあきれた。

カネを盾に生活の糧をゆするのは、カタギのやることではない。くわえて、優秀な職員が自分の意志で返納を拒否した場合、再雇用しないのだろうか。

野党のように「カネで解決」やら「カネはパフォーマンス」なんて稚拙なことを申し上げるつもりはない。けじめはけじめであるなら返納すればいい。賛成も反対もなく、淡々と受け入れる。しかし、そのカネをゆすりに使うのを看過できない。

「何をすべきか」をすでに忘れてきたのか。

「一年以内に解決する」という宣言が技術的言明政治的言明のどちらであってもよい。首相の腹芸もその腹芸をさぐる評価も、野党の批判も、「首相の言葉」と同じ質と軽さにしか私にはうつらない。言葉が臨界に達した。どちらの言葉も届かない。

矛盾する。

短期中期長期をふくめたロードマップを提示し、その実行策と進捗状況を国民が「もうそこまで伝えなくてもいいですよ」と辟易するぐらい詳細に報告し、粛々と実行してほしいと願うだけだ。

言葉の限界を痛感しつつも言葉をはけ。そしてその矛盾をかかえてただただ汗を流せ。