打落水狗

正直震え上がる。叩くだけ叩け、「何が問題なのかなんて議論するのはオレたちの仕事じゃねぇ」と言わんばかりに叩く。その結果、グッドウィルは全介護事業を売却するよう検討しはじめた。で、引受先はワタミで、その引き受け内容に開いた口がふさがらなかった。

すでに売却交渉は本格化。ワタミには先週末、複数の証券会社からコムスンの有料老人ホーム受け入れの打診があり「すべて引き受けたい」(渡辺美樹社長)。在宅介護など老人ホーム以外は「大手がやるべきではない」と否定的だ。

「老人ホーム以外は大手がやるべきだ」とコメントしているが、裏を返せば、「おしいところだけオレによこせ」と翻訳される。介護事業は、国が「儲かる(かもしれない)ぞぉ」と声をあげ、民間を我先へと参入させた。

しかし、蓋を開けてみると、意外や意外でそれほどではなかったとわかってきた。特に、訪問看護は、「犬の散歩に連れってほしい」とか「しゃべり相手になってほしい」といったサービス外のニーズが多く、そこに時間を割くと労働集約型産業は利益がふっとぶ。

軽くネットで調べた程度で恐縮ですが、コムスンもたしか訪問介護事業の赤字を老人ホーム(施設事業)の黒字で賄っているかと。

加えて24時間サービスは引き受けを検討している企業は辞退する方向だろうし、企業によっては、「地方は勘弁」と心中穏やかでない。

いつも拝読して知見を与えていただき感謝している極東ブログさんのコムスン不正問題メモに以下のメモがある。

逆にコムスンはなぜ全国展開を志向していたのかという疑問が沸いてくるし、ちょっと考えると、不正をすればなんと かなると思っていたということなのだろうか。そうかもしれない。そのあたりがわからない。あるいは、ある程度の不正は不利益地域展開とのバーターだったん じゃないだろうか。そして、厚労省もそのあたりは阿吽で認めていたんじゃないだろうか。

賛否あるけど、私はこの手の阿吽をハンドリングする力が求められていると思う。あいまいさも時に必要だろうし、今解決できないことは未来の叡智にまかせようぐらいの事なかれ主義もほどよく「折り合い」をつける意味で必要かと。その”ほどよく”がどうも機能していないのでは。その能力が低下したのか、「白」か「黒」かでやりにくくなったのか。

さらにややこしい事態を招いているのは「頭のいい人たち」だと思う。「利益主義」と口にすれば国民から喝采を浴びるとねらい、水に落ちた犬を叩く、おぼれかけた人を叩く。

「利益」と「制度」の問題を峻別して論じる「頭」をもっていないが、「頭がいい」から手に負えない。

民間が参入するかぎり、継続の源泉は「利益」だと私は思う(不正請求はその限りでない)。が、他方、ブロゴスフィアを徘徊していると介護事業に制度の不備が多く潜んでいると愚考する。利益を計上するのが「悪」ではなく、不正請求して利益を計上した原因は何なのか?

詐欺に近い行為を働いてまで利益を追求した裏側にある企業の「行動」と、現実の「現場」をクールに仕訳したとき、現場と制度の乖離があるのではないか。その乖離を「伝える」のがあなたたちの仕事ではないだろうか(“わかりやすく伝えろ”とまで贅沢言いません)。

ニュース関連: Google検索